アブダビの大学が3Dプリンターで色覚異常を補正するメガネを開発

リサーチ

アラブ首長国連邦にある、カリファ大学の研究チームが、色覚異常の人々を助ける新しいウェアラブル機器を開発しました。どのように使われているのか気になったのでこの記事でもご紹介します。

サムネイル出典:カリファ大学

3Dプリンターを用いた色覚異常を補正するメガネ

カリファ大学の研究チームは3Dプリンターを使って色覚異常の矯正に役立つメガネを製造する方法を開発しました。

レンズの材料には透明な樹脂を使用し、着色効果を持たせるために2種類の波長フィルター用色素を混ぜています。研究者たちは、3種類の濃度の染料を使ってレンズをカスタマイズし、3Dプリントしたメガネを、色覚異常の治療に使われる市販品と比較しました。

色覚異常(以下CVD)用ウェアラブルの特性や素材が研究により大幅に進歩しましたが、依然として課題があります。例えば特定の色の濃淡を見分けることができなかったり、色の認識が重要な分野で働くことができなくなります。

非常に簡易的ですが、CVDの原因を記載しますと、目の網膜には3種類の錐体があります。1つは青い光、もう1つは緑、そして3つ目は赤を認識します。CVDはこの能力を制限する先天的な眼球疾患です。CVDの中でも赤緑色覚異常は最も一般的な疾患で、ほとんどの患者さんがウェアラブルを利用して日々の作業に支障をきたしています。

今回、カリファ大学の研究チームは、2種類の色素を使用しました。1つは赤緑の患者には不要な波長をブロックし、もう1つは黄青の患者には不要な波長をフィルタリングするものです。この2つの色素をレンズに入れてテストしたところ、赤緑のCVD患者と黄青のCVD患者の両方にメガネの効果があり、両方のCVDタイプに効果があることが示唆されました。

このアプローチに基づくメガネは市販されており、容易に入手できますが、かさばるため、不快感を感じることがあります。カリファ大学の研究チームは、レンズ用のフレームを独自に開発し、3Dプリンターを使って快適さと使いやすさを最適化しました。市販のメガネのデザインにヒントを得て、3Dプリントしたメガネは、他のメガネのように折りたたむことができ、より使いやすいものとなっています。

CVD管理技術に関する研究では、染料の使用は溶出や毒性の問題が発生するため困難であることが示されていますが、研究チームは自分たちのメガネが長期的に安全に使用できることを確認するためにこのテストを行いました。3Dプリントされたメガネを1週間水に浸けておき、その中の染料の安定性を調べました。その結果、染料が水に漏れることはなく、安定性が確認されました。さらに1週間、常温で放置し、その安定性と耐久性を証明しました。

また、機械的な特性についても慎重に評価しておりまして、折ったり曲げたりしても壊れない、優れた耐久性を示しました。

実際、色素は樹脂と一体化し、3Dプリントされても変化しませんでした。このメガネの光学性能を市販の色覚異常用メガネと比較したところ、3Dプリントされたメガネは、市販のメガネよりも望ましくない波長を選択的にカットしていることがわかり、色覚異常の治療に大きな可能性を持ってることが判明しました。また、製作やカスタマイズが容易なため、患者さん一人ひとりに合ったものを作ることができます。

まとめ

3Dプリンタと色素を融合させることによって、新しい可能性を見出した内容でした。

最後にある通り、こうした問題を抱えている人の特性に合わせたカスタマイズができるのも3Dプリンタの強みと言えますね。

出典:

Developing 3D Printed Glasses to Correct Colorblindness - Khalifa University
  A team of researchers from Khalifa University has developed a new wearable that could help people with color blindness. While using dyes to develop lenses for...

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