PRUSA RESEARCHからPrusa Slicer 2.5が登場しました
PRUSAといえば、10万円台の3Dプリンターとして大変人気でございまして、円安で値上がりしてしまったのですが、密かに狙っております。
そんなPRUSA RESEARCHからスライサーソフトの新しいバージョンが出てきたので、どんな機能が搭載されたのかレビューしていきます。
サムネイル出典:PRUSA RESEARCH
Prusa Slicer 2.5
新機能の概要
- Arachneという新しいペリメーター・ジェネレーター
- STEPファイルフォーマットのサポート
- ライトニングインフィル
- 圧力の均一化
- 視認性に基づくシーム配置の改善
- その他細かい改善
Arachne ペリメータージェネレーター
ペリメーターとは外周という意味で、外周を生成する仕組みが変更されました。以前までは外周を生成する際に一定の押し出し線でオブジェクトの輪郭を印刷していました。これだと薄い壁やテキストを印刷する際に問題を引き起こしていました。
この問題を解決すべくArachneが実装されました。Arachneは必要に応じて、自動的に外周を広くしたり薄くしたりすることができまして、2つの外周にぴったり合う壁を作れるようになりました。
下の画像を参照するとイメージしやすそうです。
Arachneによって、より綺麗なプリントができるだ絵でなく、外周の隙間を埋めるための小さな押し出し材も軽減されるので印刷時間も短縮できるそうです。
このArachneが力を発揮するのは、テキストやロゴを印刷する分野です。線の幅が一定のフォントを書くなんてことはほとんどないので、自動的に線幅を広くしたり狭くしたりすることのできるArachneの効果が発揮され、小さなスケールでも綺麗なテキストを作成することができます。
Arachneは今回、デフォルトオプションとして設定されることになっておりまして、古い仕組みを使いたい時は「プリント設定 -> レイヤーと外周 -> 境界線の生成」をアラクネからクラシックにします。
STEPファイルフォーマットに対応
3DプリンターではSTLなどのファイル形式が一般的でしたが、今回からSTEPファイルが対応になりました。Fusion360, FreeCAD, SolidWorks, Inventor, AutoCAD, CATIAなど様々なソフトウェアでサポートされております。
STEPは非常に簡単に編集できるため、カスタマイズやリミックスを素早く行うことができます。STLファイルは逆に編集が難しかったので、STEPを直接扱えることによって、作業の効率が上がる可能性があります。
仕組みとしてはインポート時にOCCT(Open CASCADE Technology)開発プラットフォームをしようして、モデルを三角メッシュに変換しているようです。
ライトニングインフィル
もともと、インフィルには、構造的な剛性を持たせることと、上面を支えることの2つの役割があります。前者の構造的な剛性が必要ない場合、上面のみを支えるように最適化されたのが、ライトニングインフィルです。
上面に向かって徐々に密になる枝分かれ構造を生成して上面をサポートしてくれます。上面サポートに必要な分だけのインフィルになるので、材料と印刷時間の節約をすることができます。
こちらもArachne同様にCuraからの異色になっておりまして、Curaのオープンソース技術に感謝し積極的に取り入れているようです。
インフィル種別 | プリント時間 | 使用フィラメント量 | インフィル使用量 | 節約した量 |
ジャイロイド 15% | 1,104分 | 204g | 114g | 0% |
サポートキュービック 15% | 792分 | 152g | 62g | 46% |
ライトニング 15% | 840分 | 111g | 20g | 82% |
圧力の均一化するイコライザー
FDM 3Dプリンタはモーションと押し出しのシステムで構成されています。モーションシステムは振動を抑えるために、滑らかに加速・減速することを好みますが、押出機は、押し出しの安定性を高めるために一定の速度で押出を行うことを好みます。つまりこの二つのシステムは最適条件が相反しています。
ボーデン式のエクストルーダーは特に圧力変動に敏感です。ボーデンチューブに弛みがあるため、押し出し速度の急激な変化を確実に再現することができません。
新搭載されたイコライザーはインフィルとペリメーターの印刷間の急激な速度変化を滑らかにして、印刷の歪みを低減させます。
具体的な例として、速い内周から遅い外周に移る前に、イコライザーが内周の終点で徐々に減速して外周の押し出し速度に到達させます。同様に外周からインフィルに移行する際も、インフィルの開始を外周の速度まで遅くし、徐々に加速させていきます。
右側のプリントはボーデン式の過剰な圧力による外周の膨らみが生じていますが、左側はイコライザーによって膨らみを緩和しています。
視認性に基づくシーム配置の改善
Spriral vaseモードでプリントしていない限り、どこかで継ぎ目が発生します。
新しいバージョンからシーム配置のアルゴリズムは、モデルの外側から全く見えない領域か、ほとんどの方向から塞がれた領域を優先するようになりました。このアルゴリズムは「近傍(Nearest)」と「整列された(Aligned)」に適用されます。
また、新しいアルゴリズムでは、滑らかな表面で長く滑らかな継ぎ目を生成するようになっており、旧バージョンよりも滑らかなシームになります。
スライスが複数に分割され、各領域が独自の外周を持つマルチマテリアルまたはマルチパーツオブジェクトでは、領域間のオブジェクト内部に新たにシームが隠されます。
その他の改善
他にも様々な改善がされているようですが、サードパーティープリンタのプロファイルが増えたり、GコードのサムネイルがJPEGとQOIフォーマットでエクスポートできるようになりました。
まとめ
たくさんの魅力的なアップデートが詰まった内容となっていましたが、個人的にはArachneとSTEP対応が気になります!早速スライサーを触ってみて色々と試してみたいと思います。
気になる方はぜひチェックしてみてください!Prusa Slicerはこちらからダウンロード可能です!
出典
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